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「あゝ、よからう。大賛成ですよ」
「しかしお松の生んだ子はほんとうに半之丞の子だったんですか?」
「いや、たいしたことはないだらう、と思ふ。鼻血を出したからね。軽いとは思ふんだがどうも老としよりだから経過しだいでは副次症を起さんともかぎらんしね。そのへんのことが僕にはよく判らないんだ」
「買収ですかな」
「千光寺さんに使ひをやつたのかい。――誰もまだ行かないつて?――何あんて間抜けだのう。庄どん、お前一つ行つて来とくれ。提灯ちやうちんを忘れるなよ。もう皆さんがお集りですからお迎へに上りました、つて云ふんだよ。うん、うん、さうよ。いつしよにお伴をしておいで」
「いゝ恰好で!」
「先づそのうちには、町内の様子もいろいろお解りになることでせう。これでなかなか面倒なこともありましてな」
胡坐をかいた道平は今膝小僧までまる出しにしていた。それも日に焦げている。
今泉はかすかに鼻のあたりを不満げにふくらませた。
とにかく快適に入っていられるのだから、体温よりちょッと高い目の三十七八度ぐらいだろうときめていたが、温度計を買ってきて測ってみたら、三十四度五分であった。もっとも、私の平熱は三十五度である。胃に冷感をうけるのは、やっぱり体温よりも低いせいだな、という当然なことが、その時になって、はじめて納得できた始末だが、体温と同じ水温なら入浴は快適だという結論も得たのである。
「あ、いゝ、いゝ。なんでもありやしない。今すぐ行かう」
「徳さん、君は草履ばきぢやないか」
「昨日、君とこの奥さんがバスに乗るところを見かけたが、――」